PTの見学・面接で聞くこと|求人票に書いていない5つの質問と聞き方の例文
目次
見学で聞くのは、求人票に書いていないことです。給料のことも、聞き方を選べば失礼にはなりにくいです。
材料は、PT-OT-ST.NETに載っていた求人60件(2026-10-11取得)。求人票に書いていなかった項目を、質問に変えました。
聞く前に、求人票の空欄に印をつける
聞くことは、求人票の空欄から決めます。書いてあることを聞き直すより、書いていないことを聞くほうが、見学の時間を活かせます。
60件で、書いてあった件数が少なかった項目です。
| 項目 | 書いてあった件数(60件中) |
|---|---|
| 昇給の額 | 0件 |
| 離職率・平均の勤続年数 | 0件 |
| 手当の配分のしかた | 0件 |
| 有給の取得率 | 3件 |
| 残業の実態 | 7件 |
| 1日の単位数・件数の目安 | 9件 |
一方で、「見学可」と書いていた求人は54件。聞く機会は、たいていあります。
月給の分け方と、求人票のほかの欄の読み方は、PTの求人票の読み方にまとめました。
手元の求人票で、この6つのうち書いていないものに印をつけます。印の数が、聞く質問の候補です。
失礼になりにくい聞き方は3つ
給料や休みのことは、聞いてかまいません。次の3つを守れば、失礼にはなりにくいです。
- 仕事の中身が先、条件はあと
- 「長く働きたいので」と理由を添える
- 数字で答えられる形にする
仕事の中身を先に聞くと、働く気がある人だと伝わります。条件の話は、そのあとのほうが自然です。
理由を添えると、確認の質問に聞こえます。「長く働きたいので、確認させてください」の一言で足ります。
数字で答えられる形にすると、あいまいな答えが減ります。「残業は多いですか」ではなく、「残業は月に平均何時間ですか」と聞きます。
この例文を、スマホのメモに写しておきます。自分の言葉に直しておくと、当日も口に出しやすくなります。
お金のことは、実績で聞く
お金のことは、「ありますか」ではなく「去年いくらでしたか」と実績で聞きます。制度があっても、額がわからなければ比べられないからです。
昇給の額は、60件のどれにも書いてありませんでした。 昇給の頻度を書いていたのは14件、「あり」だけが7件です。
| 聞くこと | 聞き方の例 | 答えで見るところ |
|---|---|---|
| 昇給 | 去年は、3年目の方がいくら昇給しましたか | 年に何円か。人による差 |
| 賞与 | 賞与は基本給の何か月分ですか。去年の実績はどうでしたか | 「基本給の」か「月給の」か |
| 基本給 | 月給のうち、基本給はいくらですか | 賞与や退職金の計算の元になることが多い額 |
| 処遇改善 | 処遇改善の手当は、PTも対象ですか。基本給に入っていますか | 対象か。毎月決まった額か |
| 固定残業 | 固定残業代は何時間分ですか。超えた分は別に出ますか | 時間数と、超えた分の扱い |
| 退職金 | 退職金は、何年目から出ますか | 出始める年数 |
賞与は、「基本給の」何か月分かで額が大きく変わります。基本給が月給の6割なら、同じ「2か月分」でも、月給の2か月分より4割少なくなります。
処遇改善の手当は、PTが対象かどうかが職場で違います。
介護の処遇改善加算は、PTにも配ってよいと国のQ&A(2026年3月)で示されました。ただし、配り方は事業所が決めます。
固定残業代は、時間数と、超えた分が別に出るかの2つを確かめます。求人に書くときのきまりは、求人票の読み方の固定残業代の項で説明しています。
この6つのうち、いま求人票でわからないものを2つ選んでおきます。
時間と働き方は、目安の数字で聞く
1日の単位数や件数は、目安の数字を聞きます。60件のうち、目安を書いていたのは9件だけでした。
書いてある求人は、具体的でした。
- 回復期の病院(東京):1日6〜7人・平均17〜18単位
- 通所リハ(愛知):1日4〜6人・1人2〜3単位
- 訪問(千葉):1日5〜7件
- 訪問(神奈川):1日5〜6件
一方、「ノルマ」という言葉を使った求人は0件。目安がある職場でも、ノルマとは書きません。
目安の数字と、届かなかった日の扱いは、セットで聞きます。 目安に届かない日にどうなるかで、毎日の重さが変わるからです。
| 聞くこと | 聞き方の例 | 答えで見るところ |
|---|---|---|
| 単位数・件数 | 1日の単位数(件数)の目安はどのくらいですか | 数字で返ってくるか |
| 届かない日 | 目安に届かない日は、どうしていますか | 責められるか、調整があるか |
| 残業 | 残業は月に平均何時間ですか | 時間で返ってくるか |
| 記録 | 記録は、勤務時間の中で書けていますか | 書く時間と場所 |
| 有給 | 有給は、希望の日に取れていますか | 取った人の例が出るか |
| 休みの曜日 | お休みは何曜日が多いですか。土日の出勤はありますか | 曜日と回数 |
残業の実態を書いていた7件のうち、6件は「残業は少ない」という内容でした。書いていない53件は、聞いて確かめます。
休みの曜日も、書いていない求人が多い項目です。60件のうち29件は、曜日がわかりませんでした。土日祝休みと書いていたのは10件です。
自分にとって外せない条件を1つ決めます。定時に帰りたい、土日は休みたい、など。その条件の質問に印をつけます。
人と職場のことは、人数で聞く
辞めた人の数や教え方は、どの求人にもほとんど書いていません。離職率と平均の勤続年数は、60件中0件でした。
辞めた人のことは、「率」ではなく「人数」で聞きます。 リハ職が5人の職場なら、1人辞めただけで離職率は20%になるからです。
| 聞くこと | 聞き方の例 | 答えで見るところ |
|---|---|---|
| チームの人数 | リハ職は何人いますか。年齢はどのくらいの幅ですか | 同世代がいるか |
| 辞めた人 | この1年で、リハ職は何人入って何人辞めましたか | 入った人と辞めた人の差 |
| 勤続年数 | 長く働いている方は、何年目くらいですか | 長く続けている人がいるか |
| 教え方 | 入職して最初の1か月は、どんな流れで仕事を覚えますか | 期間と担当者が出るか |
| 勉強会・発表 | 勉強会や学会発表は、参加が決まっていますか | 任意か。勤務時間の中か |
教育体制は、60件のうち26件が中身まで書いていました。研修費の補助の額や、同行の期間などです。
勉強会や学会発表の多さを、売りにする求人もあります。ある病院(東京)は、「年間40件程度の学会発表」と書いていました。
発表が多い職場は、学びたい人には合います。合わない人もいます。
たかしは、最初の病院で、勉強会と学会発表が続く文化が合いませんでした。発表しなくても、いいPTはいます。合うかどうかは、入る前に聞いておくと安心です。
発表や勉強会が気になる人は、最後の質問をリストに入れておきます。
聞かなくても、見学でわかること
見学では、聞かなくてもわかることがあります。質問の答えと、目で見たことが合っているかを確かめます。
見るところは4つです。
- 記録を書く場所と、パソコンの台数
- 夕方、定時ごろの様子
- スタッフどうしの話し方
- 掲示物(勉強会の予定、目標の数字)
記録の場所とパソコンの台数を見ると、記録が時間内に終わるかの見当がつきます。人数に対して台数が少なければ、順番待ちが起きます。
日程を選べるなら、午後の遅い時間を頼んでみます。定時ごろに何人が記録を続けているかで、残業の様子がわかります。
話し方は、スタッフどうしと、患者さんや利用者さんへの声かけを見ます。上の立場の人と若手で、話し方がどう違うかも見どころです。
掲示物には、勉強会の予定や、単位数・件数の目標が貼ってあることがあります。質問で聞いた答えと合っているかを見比べます。
見学の帰りに、4つについて気づいたことを1行ずつメモします。日がたつと、職場どうしの違いを忘れるからです。
職場の種類で足す質問
職場の種類によって、足しておきたい質問が違います。応募先の種類の行だけ見れば足ります。
| 職場の種類 | 足す質問 |
|---|---|
| 回復期の病院 | 土日や祝日のリハの当番は、月に何回ありますか |
| 老健・通所リハ | 送迎や入浴の手伝いに、PTも入りますか。計画書などの書類は誰が書きますか |
| 訪問 | 車は誰の車ですか。オンコール(夜や休日の呼び出し)はありますか |
| クリニック | 1日の予約の枠は何人ですか。物療(電気や温熱)の担当は誰ですか |
訪問は、件数と車と経営を聞く
訪問の求人は、ほかの職場より書いてあることが多めでした。歩合は12件中7件、教育体制の中身は12件中10件が書いていました。
それでも、書いていないことがあります。訪問で足したい質問は5つです。
- 自分の車を使うなら、保険はどうするか
- オンコールの有無と、回数
- 独り立ちまでの同行の期間
- 歩合が出る件数(ポイント)と、去年の平均
- 利用者の数が、この1年で増えているか
5つ目は、事業所の経営を見るための質問です。訪問の事業所は小さいところも多く、経営が続くかは働く側にも関わります。
応募先の種類の質問を、質問リストの下に書き足しておきます。
聞く相手と順番
質問は、聞く相手を分けると答えが返りやすくなります。現場のことは現場のPTに、お金のことは事務の担当者に聞きます。
見学を申し込むとき、「聞きたいことがあるので、事務の方にも少しお時間をいただけますか」と頼んでおきます。当日、答えられる人がそろいやすくなります。
条件の数字は、最後に書面で確かめます。 内定のあとに受け取る労働条件通知書で、口で聞いた答えと数字が合っているかを見ます。
昇給は、労働条件通知書に書かれないことがあります。法律で書面に書くよう決まっている項目から、外れているからです。聞いた答えは、日付と一緒にメモに残します。
転職エージェント経由で応募する場合は、聞きにくいことを担当者に確かめてもらう方法もあります。担当者は、給料や休みの条件を職場に問い合わせてくれます。
エージェントを使うかどうかは、PTの転職サイト・エージェントの使い分けで選べます。
見学を申し込む電話の前に、どの質問を誰に聞くかを、リストに書き分けておきます。
面接の「何か質問はありますか」で聞くこと
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたら、見学で聞けなかったことを1〜2つ聞きます。
「特にありません」で終えるより、働く前提で考えていることが伝わります。
面接で聞きやすいのは、入職したあとの話です。
- 入職までに、勉強しておくとよいことはありますか
- 最初に担当するのは、どんな患者さん(利用者さん)が多いですか
- 独り立ちするまで、どのくらいの期間を見ていますか
お金の質問が残っていたら、このあとに「最後に条件のことを確認させてください」と添えて聞きます。見学で事務の担当者に聞けていれば、面接では確認だけで足ります。
面接の前に、最後に聞く質問を2つだけ決めておきます。
あいまいな答えは、もう一言で聞き直す
答えがあいまいなときは、範囲をしぼって聞き直します。「去年」「先月」「1人分」のように例を1つにしぼると、数字が出やすくなります。
| あいまいな答え | 聞き直す一言 |
|---|---|
| 人によります | 去年の例を、1人分だけ教えていただけますか |
| そんなに多くないです | 先月だと、何時間くらいでしたか |
| みんな取れています | 最近、連休を取った方はいますか |
| 特に決まっていません | 平均すると、1日何単位くらいの方が多いですか |
| 事務に聞いてください | どなたに伺えばいいですか |
聞き直しても、数字が出ないことはあります。答えた人が知らないだけのこともあるので、それだけで職場を判断しません。
数字が出なかった項目は、内定のあとの労働条件通知書か、事務の担当者への問い合わせで確かめます。
質問リストの横に、聞き直す一言を1つ書いておきます。
質問リスト(印をつけて使う)
ここまでの質問を、1つのリストにまとめました。全部ではなく、いちばん気になる3つに印をつけて持っていきます。
このリストのスクリーンショットを撮っておくと、当日スマホで見られます。聞いた答えは、その場で横にメモします。
次に読むなら、目的に合わせて選んでください。
- 聞く前に、求人票の空欄を見つけたいとき:PTの求人票の読み方
- 面接で退職理由をどう話すか決めたいとき:看護師・PTの退職理由、面接での言い換え例
- 応募で職務経歴書を求められたとき:PTの職務経歴書の書き方
- 応募する職場を、まだ探しているとき:転職サイト・エージェントの使い分け
調べ方と限界
この記事の「書いてあった件数」は、PT-OT-ST.NETの求人60件を読んで数えました(2026-10-11取得)。
選び方と数え方は、求人票の読み方の「調べ方と限界」に書いています。
60件は全体の約5%で、すべての求人の代表ではありません。関東の求人が多く、地方では書き方が違う可能性があります。
質問の例文は、求人票に書いていなかった項目から作りました。職場によっては、聞かなくても先に説明してくれることもあります。
処遇改善加算の扱いは、厚生労働省の通知とQ&A(2026年3月)で確かめました。制度は見直しが続くため、最新の扱いは応募先に確かめてください。
よくある質問
給料のことを聞くと、印象が悪くなりませんか?
聞き方しだいです。先に仕事の中身を聞き、そのあとに「長く働きたいので、確認させてください」と添えれば、失礼にはなりにくいです。給料の数字は、リハ科の人より事務の担当者のほうが答えやすいこともあります。最後は、内定のあとに受け取る労働条件通知書(書面)で確かめます。
見学では、何問くらい聞けばいいですか?
3つが目安です。全部を聞こうとすると、見学の時間が質問で終わってしまいます。この記事の質問リストから、いちばん気になる3つに印をつけて持っていきます。残りは、面接や内定のあとにも聞けます。
はっきり答えてもらえなかったら?
「どなたに伺えばわかりますか」と、答えられる人を聞きます。給料の数字は事務の担当者、1日の流れは現場のPTが詳しいことが多いからです。それでも答えがない項目は、内定のあとの労働条件通知書で確かめます。書面に書いていなければ、入職の前に問い合わせます。
次の一歩
転職の全体マップ
転職は6つの工程に分けて考えると、次にやることが見えます。