看護師・PTの退職理由、面接での言い換え例|本音が「人間関係」「残業」でも伝わる3文の型
本音が人間関係や残業でも、面接で困ることはありません。話す順番を決めておけば、30秒で伝わります。
私はPTで、病院と老健を経て、40代で訪問看護ステーションに移りました。老健では主任として、採用の面接に同席していました。
妻のえみみは看護師で、4回職場を変えています。最初の職場は、1年たたずに辞めました。
この記事は、面接を受ける側と、面接をする側の両方から書いています。
材料は、私たちの転職と私の面接の経験、厚生労働省の調査とハローワークの案内です。
面接官は、退職理由で何を確かめているか
面接で退職理由を聞かれたとき、面接官が見ているのは理由の良し悪しではありません。確かめたいのは次の3つです。
- うちでも同じ理由で、また辞めないか
- 起きたことを、人のせいだけにしていないか
- うちを選んだ理由と、話がつながっているか
辞めた理由が人間関係や働く時間なのは、珍しいことではありません。
厚生労働省の「令和7年 転職者実態調査」で、自分の都合で前の職場を辞めた人に理由を聞いています(3つまで選ぶ形式)。
結果の上位は、次のとおりでした。
- 賃金が低かったから:25.5%
- 会社の将来に不安を感じたから:25.2%
- 満足のいく仕事内容でなかったから:24.7%
- 労働条件(賃金以外)がよくなかったから:23.4%
- 人間関係がうまくいかなかったから:22.2%
1人3つまで選ぶ形式なので、合計は100%を超えます。どれも2割を超える人が挙げていて、面接官にとっても聞き慣れた理由です。
私が面接する側で見ていたこと
老健で採用の面接に同席していたとき、退職理由そのものは、ほとんど気になりませんでした。辞める理由は、その人の事情だからです。
ただ、前の職場を悪く言うことが多い人は、採用しませんでした。
理由の中身より、その理由をどう話すかを見ていました。
前の職場の話ばかりする人は、うちに来ても同じように話すかもしれない。そう感じたからです。
答えは3文の型で作る
退職理由は、次の3文で組み立てます。
- 事実を一言:「〇年勤めた〇〇を、〇月に退職しました」
- 次に大事にしたい条件:「次は、〇〇できる職場で働きたいと考えています」
- この職場を選んだ理由:「こちらは〇〇だと伺い、応募しました」
1文目は短くします。辞めた事情を長く話すほど、前の職場の話が増えるからです。
2文目は、辞めた理由の裏返しです。「残業が多かった」なら「記録まで勤務時間内に終えられる働き方」のように、次に欲しい形にします。
3文目は、求人票や見学で知ったことを入れます。ここがあると、「うちなら同じ理由で辞めない」と面接官が思えます。
辞めたい理由から「次の職場の条件」を出す方法は、PTの記事と看護師の記事に表でまとめました。この記事は、その条件を面接の言葉にするところを書きます。
理由ごとの言い換え例
本音ごとに、次に大事にしたい条件と、面接での一言の例を並べました。
| 本音 | 次に大事にしたい条件 | 面接での一言(2文目) |
|---|---|---|
| 人間関係がつらい | 相談しながら働ける | スタッフ同士で相談しながら働ける職場を希望しています |
| 残業が多い | 記録まで時間内に終わる | 記録まで勤務時間内に終えられる働き方をしたいです |
| 夜勤で体がもたない(看護師) | 日勤中心で長く続けられる | 日勤を中心に、長く続けられる働き方を考えています |
| 1日の件数や移乗がきつい(PT) | 一人ひとりに時間をかけられる | 利用者さん一人ひとりに時間をかけて関わりたいです |
| 給料が上がらない | 昇給の仕組みがはっきりしている | 経験が昇給に反映される職場で、長く働きたいです |
| 子どもの送迎に間に合わない | 決まった時刻に帰れる | 子育てと両立しながら、長く勤められる職場を探しています |
| 教えてもらえない | 教育の担当や聞ける人がいる | 教育の体制がある職場で、手順を一つずつ身につけたいです |
| やりたい分野がある | その分野の経験が積める | 在宅の看護(リハ)の経験を積みたいと考えています |
伝わりにくい言い方と、伝わる言い方
同じ本音でも、言い方で受け取られ方が変わります。
左は前の職場の話、右は次の職場の話です。右の言い方なら、面接官は「うちならどうか」を考えられます。
給料を理由にするのは、悪いことではありません。上の調査でも、最も多い理由でした。「いくら欲しい」ではなく、仕組みと続けたい気持ちで話します。
3文にした例:看護師の場合
急性期の病棟で忙しさが体に合わず、日勤中心の働き方に移りたい人の例です。
「急性期の病棟に〇年勤め、〇月に退職しました。
次は、利用者さん一人ひとりとじっくり関われる働き方をしたいと考えています。
こちらは日勤が中心で、訪問の前後に記録の時間を取っていると伺い、応募しました」
3文にした例:PTの場合
私の2回の転職の本音を、面接で話すならどう言うかの例です。
1回目は、病院を辞めて老健に移りました。本音は「勉強会と学会発表の文化が合わない」でした。
「回復期の病院で〇年、リハを担当しました。
次は、退院後の生活に近いところで関わりたいと考えています。
こちらは在宅復帰に向けた生活のリハに力を入れていると見学で伺い、応募しました」
2回目は、老健の主任を辞めて訪問看護ステーションに移りました。本音は「会議と書類が増えて、定時に帰れない」でした。
「老健で〇年、主任として入所と通所リハを担当しました。
次は、子どもの送迎と両立しながら、利用者さんの自宅でのリハに力を入れたいと考えています。
こちらは訪問の件数と終業の時刻が決まっていると伺い、応募しました」
家庭の事情は、そのまま理由にしてかまいません。3文目で「この職場なら続けられる」とつなげれば、面接官も安心できます。
深掘りされたときの返し
3文で答えたあと、もう一歩聞かれることがあります。よくある返しを3つ用意しておきます。
「具体的には、何があったんですか?」
出来事を1つだけ、人を責めない言い方で話します。
「急な入院が重なる日が多く、記録が勤務時間内に終わらない日が続きました。それで、働き方を見直したいと考えました」
誰が悪かったかではなく、何が起きていたかを話します。話は1つで止めます。
「うちも残業はありますよ」
ここは、聞き返していい場面です。量と、やり方を確かめます。
「どのくらいの時間で、どんなときに多くなりますか。記録はいつ書くことが多いですか」
答えを聞いてから、自分が続けられそうかを考えます。聞き方の例は、見学・面接で聞くことにまとめました。
「人間関係は、どこにでもありますよ」
ここは、次の職場で自分がどう動くかを話します。
「そう思います。
わからないことは早めに相談するように、自分でも気をつけています。
そのうえで、相談しやすい職場だと長く続けられると考えました」
1年未満で辞めた・回数が多いとき
1年未満で辞めたとき
えみみは、最初の急性期病院を1年たたずに辞めています。部署がとても忙しく、体調を崩したことが理由でした。
看護部長は体調を心配して、同じ病院の別の部署へ移る話をしてくれていました。それでも異動はせず、同じ部署で働き続けて、結果として退職しています。
1年未満で辞めたときは、聞かれる前に自分から一言触れておきます。
体調が理由なら、「今は働ける状態であること」をセットで話します。面接官が心配するのは、体調のことより、入ってからまた同じことが起きないかだからです。
「急性期の病棟に〇か月勤めましたが、体調を崩して退職しました。
今は回復していて、勤務に支障はありません。
次は、日勤を中心に長く続けられる職場で働きたいと考えています」
病気のくわしい中身まで話す必要はありません。働ける状態かどうかが伝われば十分です。
辞めるかどうかで迷っているときの考え方は、看護師を辞めたいのに決められないときに書きました。
前の職場のきつい言葉がつらかった人は、新人看護師への先輩のきつい言葉も参考にしてください。
転職の回数が多いとき
回数が多いときは、1回ずつ理由を並べるより、全部に通る一本の筋を話します。
「職場は〇回変わりましたが、どの職場でも、利用者さん一人ひとりと長く関われる働き方を探してきました。
今の働き方で、それが合っているとわかりました。
こちらでは〇〇の経験を活かしたいと考えています」
えみみの場合、4回の理由は体調と働く環境のことが多かったそうです。面接では、回数よりも「何を大事にしてきたか」を話すほうが伝わります。
面接の前にやること
退職理由は、面接の場で考えると詰まります。前の日までに、次の3つをやっておきます。
- 3文を紙に書く
- 声に出して、30秒で言えるか時計で測る
- 誰かに面接官役をしてもらい、相手の目を見て言う練習をする
3つめは、私が面接する側だったときに感じたことからです。中身が良くても、目が合わないと、こちらは少し心配になりました。
練習は、言葉より先に、顔を上げて話すことから始めます。
転職エージェントを使っているなら、書いた答えを担当の人に見てもらえます。
えみみは、履歴書を写真で送って直すところを教えてもらっていました。頼み方は看護師転職エージェントの使い方にまとめました。
自分で応募している場合は、家族や友人に面接官役を頼めば十分です。
今日のうちに、自分の退職理由を3文で書いてみてください。
まとめ
- 本音をそのまま話さなくていい。ただし事実は変えない
- 答えは3文。辞めた事実、次に大事にしたい条件、この職場を選んだ理由
- 面接官が確かめたいのは「うちでも同じ理由で辞めないか」
- 前の職場や人を悪く言わない。1年未満で辞めたときは、今の状態まで話す
退職理由は、次の職場で大事にしたいことを伝える場面です。
次に読むなら、目的に合わせて選んでください。
- 面接で、こちらから聞くことを準備したいとき:見学・面接で聞くこと
- 辞めるかどうか、まだ迷っているとき:看護師を辞めたいのに決められないとき・理学療法士をやめてよかった人・後悔した人の違い
- エージェントに答えを見てもらいたいとき:看護師転職エージェントの使い方
- 面接が短くて結果が不安なとき:看護師面接の落ちるフラグは当てにならない
- PTで職務経歴書を求められたとき:PTの職務経歴書の書き方
調べ方と限界
この記事の材料は、次の方法で集めました。
- 体験:私(たかし)の転職と、老健で採用の面接に同席した経験。えみみの4回の転職。職場が特定されないよう、場面をまとめ直したところがあります
- 例文:私たちの本音をもとに、面接で話すならどう言うかを作った例です。実際の面接で話した言葉そのものではありません
- 統計:厚生労働省「令和7年 転職者実態調査」(個人調査・有効回答7,310人・3つまでの複数回答)
- 書類の書き方:ハローワーク「応募書類の作成」のパンフレット(2026-10-20確認)
看護師やPTに限った退職理由の公的な統計は、確認した範囲では見当たりませんでした。上の数字は、職種を問わない転職者の調査です。
よくある質問
本当の理由を言わないのは、うそになりませんか?
勤めた期間、職場の種類、辞めた時期などの事実を変えなければ、うそにはなりません。言い換えるのは、不満の中身ではなく「次の職場で何を大事にしたいか」です。面接は不満を打ち明ける場ではなく、次の職場で長く働けるかを話す場なので、話す順番と言葉を選ぶのは自然なことです。
履歴書の退職理由は「一身上の都合」でいいですか?
自分の都合で辞めたなら、それで大丈夫です。ハローワークの応募書類のパンフレットでも、退職の理由は「一身上の都合により退職」などのように簡潔に書く例が挙がっています。くわしい理由は書類に書かず、面接で聞かれたときに3文で話します。
パワハラが理由で辞めたとき、面接で話すべきですか?
前の職場で何があったかを、くわしく話す必要はありません。「指導の体制が整った職場で、手順を一つずつ身につけたい」のように、次の職場で大事にしたい条件で話します。前の職場を責める言い方は、面接官を心配させやすいからです。
給料を退職理由にしてもいいですか?
してかまいません。国の調査でも、自己都合で転職した人が挙げた理由で最も多いのは「賃金が低かったから」でした。ただし「いくら欲しい」ではなく、「昇給の仕組みがはっきりした職場で、長く働きたい」のように、仕組みと続けたい気持ちで話すと伝わりやすくなります。
次の一歩
転職の全体マップ
転職は6つの工程に分けて考えると、次にやることが見えます。