PTの求人票の読み方|月給を4つに分けて、書いていないことを質問リストにする
目次
求人票の月給は、そのままでは比べられません。基本給・手当・固定残業代・歩合の4つに分けると、同じ30万円でも中身の違いが見えてきます。
材料は、PT-OT-ST.NETに載っていた求人60件(2026-10-11取得)。欄ごとに読んで数えました。
求人票に書いてあること・書いていないこと
月給の総額と、見学ができるかどうかは、ほとんどの求人に書いてあります。昇給の額と離職率は、60件のどれにも書いてありませんでした。
書いてあった件数を、多い順に並べます。
| 項目 | 書いてあった件数(60件中) |
|---|---|
| 勤務時間の時刻 | 55件 |
| 施設見学ができる | 54件 |
| 月給の総額 | 41件 |
| 年間休日の日数 | 23件 |
| 基本給と手当の内訳(金額つき) | 17件 |
| 昇給の頻度(年1回など) | 14件 |
| 賞与の月数 | 10件 |
| 1日の単位数・件数の目安 | 9件 |
| 固定残業代の金額と時間 | 8件 |
| 残業の実態 | 7件 |
| 処遇改善などの手当 | 5件 |
| 有給の取得率 | 3件 |
| 昇給の額 | 0件 |
| 離職率・平均の勤続年数 | 0件 |
| 手当の配分のしかた | 0件 |
書いていないことは、隠していることと同じではありません。PT-OT-ST.NETの求人ページには、賞与・昇給・離職率を書く専用の欄がないからです。
給与は、自由に書く欄が1つあるだけ。書くかどうかは、施設ごとの判断です。
書いてある項目にも偏りがあります。残業の実態を書いていた7件のうち、6件は「残業は少ない」という内容でした。残業が多い職場は、わざわざ書かないのかもしれません。
書いていない理由がどうであれ、知りたいことは自分で確かめるしかありません。
手元の求人票で、この表の項目に印をつけてみてください。印がつかなかった項目が、あとで聞く質問になります。
月給は4つに分けて読む
月給は、基本給・手当・固定残業代・歩合の4つに分けて読みます。同じ月給でも、どれが多いかで、賞与や毎月の安定が変わるからです。
たとえば、通所介護(大阪)の求人は「月給35万〜40万円」と書いていました。下限の35万円の中身は次のとおりです。
- 基本給 21.0万円
- 手当 11.4万円(資格手当1.2万・処遇改善手当8.0万・調整手当2.2万)
- 固定残業代 2.6万円(残業12時間分)
- 歩合 なし
月給35万円のうち、基本給は21万円で6割です。 残りの4割は、手当と固定残業代でした。
基本給:賞与のもとになる
基本給は、賞与の計算のもとになることが多い部分です。退職金の計算に基本給を使う職場もあります。
求人票にも、その書き方が出ていました。
- 病院(東京)の求人:賞与は「基本給の4か月分」
- 訪問(東京)の求人:賞与は「基本給の1〜2ヶ月」
たとえば、月給35万円で基本給21万円の職場なら、賞与2か月分は42万円です。月給の2か月分(70万円)と比べると、28万円少なくなります。
内訳が書いてあった求人では、基本給は月給の6〜7割でした。
- 通所介護(大阪):35万円のうち21万円(60%)
- 有料老人ホーム(岐阜):34万円のうち20万円(59%)
- 児童発達支援(千葉):27万円のうち18.8万円(70%)
求人票に基本給の金額がなければ、「基本給はいくらですか」「賞与は基本給の何か月分ですか」の2つを質問に入れます。
手当:名前も金額も職場ごとに違う
手当は、職場によって名前も金額もばらばらです。資格手当・役職手当・調整手当・処遇改善手当など、同じ名前でも中身が同じとは限りません。
なかでも差が大きかったのが、処遇改善などの手当です。60件のうち書いてあったのは5件だけ。
金額があった4件で、4,000円から80,000円まで20倍の差がありました。
処遇改善やベースアップの手当は、国の加算や評価料をもとに、法人が職員の賃上げに回すお金です。
PTが対象になるかは、勤務先の種別と、その施設が加算や評価料を届け出ているかで決まります。業務委託は対象外です。
介護の処遇改善加算は、PTにも配ってよいと、国のQ&A(2026年3月)で示されています。ただし、配り方は事業所の判断です。
医療のベースアップ評価料は、基本給か、毎月決まった手当を上げるのに使うお金です。どちらにするかは法人が決めます。
病院(神奈川)の求人は、処遇改善手当4,000円とベースアップ手当16,000円を分けて書いていました。どちらにも「診療報酬制度による」と添えてあります。
手当があれば、次の3つを聞きます。加算が変われば、手当も変わることがあるからです。
- 処遇改善の加算や、ベースアップ評価料は取っていますか
- PTも、その賃上げの対象に入っていますか
- 基本給に入っていますか、別の手当ですか
固定残業代:何時間分かを見る
固定残業代は、決まった時間分の残業代を、先に月給へ入れておく払い方です。60件で金額と時間を書いていたのは8件。時間は10〜30時間でした。
決めた時間を超えて残業した分は、別に残業代が出るのが決まりです。残業が少なくても、固定残業代はそのまま払われます。
- 通所介護(大阪):固定残業12時間分。残業の実態は「平均6時間程度/月」
- 児童発達支援(千葉):月給27万円のうち、固定残業代5万円(30時間分)
月給が高く見える求人ほど、固定残業代が入っていないかを確かめます。「固定残業代なし」とはっきり書いた求人は、60件中1件でした。
求人に固定残業代を書くときは、次の3つを示すよう、国の指針で決まっています。
- 何時間分で、いくらか
- 固定残業代を除いた基本給
- 超えた分は別に払うこと
3つのうち書いていないものがあれば、面接で「何時間分ですか」「超えた分は別に出ますか」と聞きます。
歩合:件数や時間で増える
歩合は、訪問やリハビリの件数・時間に応じて増える給料です。
60件で歩合を書いていたのは、訪問12件中7件、クリニック13件中4件。病院と老健は20件中0件でした。
訪問の求人には、次のような書き方がありました。
- 訪問(東京):基本給20万円+固定残業代3.5万円(20時間分)+業務手当。121ポイント(1ポイント=20分)から歩合。「月収39万〜54万円」は平均の支給実績
- 訪問(神奈川):基本給28万円。月80時間を超えた訪問は、60分ごとに4,000円。月100時間で36万円、120時間で44万円の例
- 訪問(神奈川):年収の例は、1日5件で540万円〜、6件で636万円〜
書いてあるのは件数を重ねたときの金額で、毎月必ずもらえる額ではありません。 上の図のBでいえば、決まっているのは基本給と固定残業代の23.5万円です。
入社してしばらくは、歩合を保証する求人もありました(訪問・東京、月5万円まで・6か月)。保証が終わったあとの見通しも聞いておきます。
歩合のある求人では、次の3つを質問に入れます。
- 何件(何ポイント)から歩合がつくか
- いまのスタッフは、月に平均何件か
- 件数が届かない月は、どうなるか
「〜」の下限は誰の数字か
「月給27万円〜」の27万円が、何年目の人の金額かは、ほとんど書いてありません。月給で比べられた41件のうち、経験年数と金額を結びつけていたのは6件だけでした。
41件の月給の下限は、中央値で27万円(最小22万円・最大35万円)。この下限には、新卒の金額と経験者の金額が混ざっています。
経験年数と結びつけた書き方は、たとえば次のとおりです。
- クリニック(東京):新卒23万円、3年目28万円
- 病院(埼玉):新卒26.3万円、中途3年目28.3万円、5年目29.9万円(残業10時間分込み)
- 老健(神奈川):27万円以上(経験5年を想定)
- 病院(神奈川):33.49万円〜(4年目以上を想定)
同じ「〜」でも、新卒の数字なら経験者は上がる余地があります。経験者の数字なら、それが入口の金額です。
「自分の経験年数だと、いくらからですか」と聞けば、下限を自分の数字に置きかえられます。 電話で見学を申し込むときに聞いても構いません。
年収・年俸だけの求人
年収や年俸だけの求人は、その数字に何が入っているかを先に確かめます。60件のうち7件が、月給を書かずに年収・年俸だけでした。
老健(千葉)の求人は「年俸420万〜480万円」。12で割ると月35万〜40万円です。月給の下限としては、60件の最大(35万円)と並ぶ水準でした。
ただし、この求人は「賞与・昇給なし」と書いていました。月の金額だけで比べると、賞与のある職場より高く見えます。
年収・年俸だけの求人では、次の3つを聞きます。
- 賞与は入っているか
- 固定残業代は入っているか
- 来年も同じ額か(昇給はあるか)
年収600万円に届く職場と届かない職場の分かれ目は、理学療法士の年収600万は届く?にまとめました。
賞与と昇給は「あり」だけでは比べられない
賞与と昇給は、「あり」と書いてあっても、額がわからないことがほとんどです。昇給の額を書いていた求人は、60件中0件でした。
賞与の書き方を数えると、次のとおりです。
| 賞与の書き方 | 件数(60件中) |
|---|---|
| 月数まで書いてある(年2回・計3か月など) | 10件 |
| 回数だけ(年2回など) | 14件 |
| 「あり」だけ | 7件 |
| 「なし」と明記 | 1件 |
| 書いていない | 28件 |
昇給は、頻度(年1回など)を書いていたのが14件、「あり」だけが7件。書いていない求人が37件で、6割を超えていました。
賞与は、2つの数字がそろって初めて比べられます。何か月分かと、その「か月」が基本給か月給かです。
昇給は、「年1回」とわかっても額がわかりません。5年後の給料を考えるなら、昇給の実績額を聞くのがいちばん確かです。
昇給は、労働条件通知書に書かれないこともあります。法律で書面に書くよう決まっている項目から、昇給は外れているからです。聞いた答えは、日付と一緒にメモに残します。
見学では、「去年の賞与は何か月分でしたか」「3年目の人は、入職のときからいくら上がりましたか」のように、実績で聞きます。
職場の種類で書き方が違う
月給の下限は、職場の種類で書き方の傾向が違いました。比べるときは、同じ種類の職場どうしで比べます。
月給で比べられた求人の、下限の中央値です。
| 職場の種類 | 比べられた件数 | 下限の中央値 | 歩合を書いていた件数 |
|---|---|---|---|
| 病院 | 8件 | 25.95万円 | 11件中0件 |
| 老健 | 6件 | 26.25万円 | 9件中0件 |
| クリニック | 9件 | 27.5万円 | 13件中4件 |
| 訪問 | 7件 | 30.0万円 | 12件中7件 |
通所リハと通所介護は、比べられた求人が各2件だったため、表に入れていません。
訪問の下限が高く見えるのは、歩合や件数を含めた書き方が多いことも一因です。病院・老健の求人は歩合がない分、月給が低く見えることがあります。
年間休日の日数を書いていたのは23件で、110〜135日でした。いちばん多かったのは120日(10件)。
職場の種類でも差があります。病院は11件中6件が日数を書いていたのに、クリニックは13件中2件だけでした。
件数が少ないので、この表は傾向として読んでください。気になる求人があれば、同じ種類の職場の求人を2〜3件並べて読むと、相場の感覚がつかめます。
書いていないことは質問リストにする
求人票に書いていない項目は、見学と面接で聞く質問にします。60件のうち54件が「見学可」と書いていたので、聞く機会はたいていあります。
書いていなかった項目と、聞き方の例です。
| 書いていなかった項目 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 昇給の額 | 去年は、何年目の人がいくら昇給しましたか |
| 賞与の実績 | 賞与は基本給の何か月分ですか。去年の実績はどうでしたか |
| 辞めた人の数 | この1年で、リハ職は何人入って何人辞めましたか |
| 手当の配分 | 処遇改善などの手当は、PTにも配られていますか |
| 1日の単位数・件数 | 1日の単位数(件数)の目安はどのくらいですか |
| 残業の実態 | 残業は月に平均何時間ですか。記録は時間内に書けますか |
| 有給の取りやすさ | 有給は、希望の日に取れていますか |
単位数や件数は、書いてあれば具体的でした。回復期の病院で「1日6〜7人・平均17〜18単位」、訪問で「1日5〜7件」という書き方です。
いちばん気になる3つに印をつけて、見学に持っていきます。
聞き方の例文と、職場の種類で足す質問は、PTの見学・面接で聞くことにまとめました。
聞きにくいことは、転職エージェントの担当者に確かめてもらう方法もあります。担当者は、給料や休みの条件を職場に問い合わせてくれます。
エージェントと求人サイトのどちらが合うかは、PTの転職サイト・エージェントの使い分けにまとめました。
自分で直接応募する場合は、見学のときに事務の担当者へ聞きます。給料の数字は、リハ科の人より事務の人のほうが答えやすいことがあります。
60件の中には、直接の応募を歓迎する求人もありました。直接入社の人だけに引越しの補助を出す求人や、紹介会社を通した応募を受けない求人で、合わせて4件です。
教育体制は、中身が書いてあるかを見る
教育体制は、「支援します」だけの求人と、中身まで書いた求人に分かれます。60件で中身まで書いていたのは26件でした。
ここでの「中身」は、次のどれかが書いてあることです。
- 研修や学会の補助の金額・割合
- 研修の名前や回数
- 指導の付き方(同行訪問の期間、プリセプターなど)
| 教育体制の書き方 | 件数(60件中) |
|---|---|
| 中身まで書いてある | 26件 |
| 「支援します」など言葉だけ | 15件 |
| 書いていない | 19件 |
訪問の求人は、12件中10件が中身まで書いていました。多かったのは研修費の補助で、「年2万円」「年3万円」「全額負担」のように金額や割合まで書いてあります。
言葉だけの求人では、「入職して最初の1か月は、どんな流れで仕事を覚えますか」と聞きます。答えに期間や人の名前が出てくれば、仕組みがある職場です。
同じ文面の求人と、施設の種類のずれ
求人票の文面は、その職場だけのことを書いているとは限りません。60件の中に、同じ法人が事業所ごとに同じ文面で出した求人が4組ありました。
同じ文面なら、給料や休みの書き方も同じです。でも、スタッフの人数や1日の件数は、事業所ごとに違うはずです。
サイトの「施設の種類」の絞り込みも、当てにしすぎないほうが安全です。「特養」の絞り込みで出てきた3件は、中身を読むとクリニック・通所リハ・病院の求人でした。
職場ごとの人数・雰囲気・件数は、見学で確かめます。気になる求人は、どの事業所の募集なのかを申し込みの電話で確かめておきます。
求人票を読む順番
ここまでの話を、求人票を読む順番にまとめます。気になる求人を1件開いて、上から順に試してください。
- 月給を、基本給・手当・固定残業代・歩合の4つに分ける
- 基本給の金額と、賞与が基本給の何か月分かを探す
- 固定残業代があれば、何時間分かを見る
- 歩合があれば、何件から・平均何件かを質問に回す
- 「〜」の下限が、何年目の金額かを確かめる
- 書いていない項目に印をつけ、聞く質問を3つ選ぶ
たかしが40代の転職で見たところ
40代で転職したとき、総合型の転職エージェントに「紹介できる求人がない」と言われました。最後は、Indeedなどに出ている求人を自分で探して決めました。
経験を積むと紹介が減る理由は、給料表と統計で見た記事に書きました。
担当者がいない探し方では、求人票に書いていないことを自分で聞くことになります。
この記事の4つの分け方と質問の表は、同じように一人で求人を比べる人に向けてまとめました。
求人票は、職場を選ぶ入口です。書いてあることは数字で比べ、書いていないことは聞いて確かめる。この2つを分けるだけで、迷う時間が減ります。
次に読むなら、目的に合わせて選んでください。
- 書いていないことを、見学で聞きたいとき:見学・面接で聞くこと
- 年収の数字を、相場と比べたいとき:理学療法士の年収600万は届く?
- 求人を探す道具を選びたいとき:転職サイト・エージェントの使い分け
- 通所リハの求人を見ているとき:通所リハ(デイケア)で働くPTの1日
調べ方と限界
この記事の数字は、次の方法で集めました。
- PT-OT-ST.NETの求人一覧と詳細ページを閲覧(2026-10-11取得)
- 総件数1,164件のうち、常勤PTの募集60件を、施設の種類ごとに選んで読んだ
- 職場の種類は、サイトの分類ではなく募集内容を読んで分けた
- 給与は自由記述のため、月額の読み取りに判断が入る
60件は全体の約5%で、すべての求人の代表ではありません。
サイト全体の8割が東京・神奈川・千葉・埼玉の求人で、読んだ60件も新しい掲載に寄っています。地方の求人では、書き方が違う可能性があります。
PT-OT-ST.NETは、施設が自分で求人を載せ、応募が施設に直接届くサイトです。施設名は、この記事では出していません。
よくある質問
求人票と、実際の条件が違っていたら?
内定のあとに受け取る労働条件通知書(書面)で、給料・勤務時間・休日を確かめます。採用のときに労働条件を書面で示すことは、労働基準法で決まっています。示された条件が実際と違うときは、すぐに契約を解除できることも、同じ法律にあります。求人票と違う点があれば、入職の前に採用の担当者へ確かめます。納得できないときは、労働基準監督署や総合労働相談コーナー(無料・予約不要)に相談できます。
処遇改善手当は、PTももらえますか?
職場によります。処遇改善やベースアップの手当は、国の加算や評価料をもとに、法人が職員の賃上げに回すお金です。PTが対象になるかは、勤務先の種別と、その施設が加算や評価料を届け出ているかで決まります。業務委託は対象外です。介護の処遇改善加算は、PTにも配ってよいと国のQ&A(2026年3月)で示されています。求人60件で金額を書いていた4件でも、4,000円から80,000円まで差がありました。面接で「PTも賃上げの対象に入っていますか」と聞くのが確実です。
見学だけでも大丈夫ですか?
大丈夫です。求人60件のうち54件が「見学可」と書いていました。見学は、応募を決める前に職場を確かめる機会です。申し込むときに「応募を考えていて、先に見学したい」と伝えると、相手も準備しやすくなります。
次の一歩
転職の全体マップ
転職は6つの工程に分けて考えると、次にやることが見えます。